NOCOR コラム
- COLLUMN -

出産後のママ向け!産褥期の過ごし方をポイント別に解説


目次 [開く] 目次 [閉じる]

出産後の「産褥期」って何?

妊娠から出産までにはおよそ10ヶ月かかり、その間に女性の体は子宮などが大きく変化していきます。産褥期とは、その変化した体が元に戻っていく時期のことで、だいたい出産後6週から8週といわれています。


ただし出産の状況や体の変化は人によって異なりますので、この期間より長引くこともあります。


出産後の体の変化3つ

出産後は、子宮やホルモンバランスなどが大きく変化していきます。初めて出産を経験した方は、これから体がどうなっていくのか不安になっている方もいるでしょう。ここでは、出産後の主な体の変化を3つ紹介します。


1:子宮について

妊娠で大きくなった子宮が元の大きさに戻ることを「子宮復古」といいます。妊娠前の子宮膣の容積と比べると、約2000~2500倍にも大きくなっています。子宮が妊娠前の状態になるまでには、だいたい出産後6週から8週かかるといわれています。


子宮が元に戻るときは子宮が大きく収縮しますので、後陣痛といって強い痛みを感じることもあります。また、このときに子宮内で不要となったものを排出する「悪露」も始まります。


2:ホルモンバランスについて

出産後はホルモンバランスが大きく変化しますので、それが原因で体や心に不調を感じることもあります。また、授乳を続けることで女性ホルモンが低い状態になり、卒乳すると女性ホルモンの分泌量は増えてきます。


万が一女性ホルモンの分泌が少ないときは、イライラしたり抜け毛に悩まされることもあるので、予め知っておくといいでしょう。ただし、妊娠前の状態に戻るまでには、母乳育児の期間や卒乳の早さなどによって個人差があります。


3:母乳について

出産後、少しずつ母乳が出てくるようになります。母乳は最初から大量に出てくるわけではなく、徐々に量が増えていきます。また出産後最初の頃に出てくる母乳のことを「初乳」といい、色は黄色味がかっているのが特徴です。


初乳には、免疫成分だけでなく、生まれたばかりの赤ちゃんが少量でも成長していける十分な栄養が含まれています。初乳の期間はだいたい1週間ほどで、その後「成乳」と呼ばれる白い母乳が出るようになり分泌量も多くなります。


【時期別】出産後の生活の仕方5つ

出産後は、無理をせず自分のペースで元の生活に戻していくことが重要です。ここでは、出産後の生活の仕方を、5つの期間に分けて紹介していきます。ただし、体の回復には個人差がありますので、参考程度に見てみてください。


1:入院中から退院まで

出産後は、しばらく入院することになります。帝王切開の場合は、経腟分娩に比べると入院期間が長くなることが多いといわれています。入院中は、出産により母体は大きく変化しているため、無理せず、自分の体をゆっくり休めることが大切です。


授乳や睡眠不足でしんどいときは、看護師さんにお世話を手伝ってもらうといいでしょう。母子同室が始まっても、1人で頑張ろうとせず休めるときは休むようにしましょう。


2:出産後2週間

出産後2週間目からは、乳腺炎に気をつける必要があります。母乳の分泌量が増えることで、トラブルが起きやすい時期でもあります。赤ちゃんのお世話以外は、もしできればするくらいの気持ちでいるのがおすすめです。


まだまだ体はデリケートな時期なので、激しい運動や負担の大きい家事は控えた方がいいでしょう。できれば家事は他の人に手伝ってもらい、赤ちゃんのことに専念できる環境が望ましいでしょう。


3:出産後3週間

出産後3週間目は「床上げ」といって、今まで布団で寝て過ごしていた人が少しずつ元の生活に戻していく時期です。ただし人によって回復具合が違うため、自分の体調を見ながら床上げしていきましょう。


また、床上げ後いきなり元の生活に戻すのではなく、できる家事から徐々に始めていくことが大切です。体への負担が急激に増えてしまうと、体調を崩す原因になることがあります。自分にしか体調の変化は分からないので、動けないときは無理せず手伝ってもらうといいでしょう。


4:出産後4週間

出産後4週間目には、1ヶ月検診があります。 1ヶ月検診で何も問題がなければ、外出して買い物などもできるようになります。体力を戻すために、少しずつ運動を取り入れるのもおすすめです。


ただし見た目では特に体調の悪いところがなくても、まだ産褥期のため無理は禁物です。いきなり長時間の外出はせず、買い物や散歩も近所から少しずつ慣らしていきましょう。もし心配なことがあれば、1ヶ月検診を待たず受診することも検討するといいでしょう。


5:出産後1ヶ月以降

出産後1ヶ月以降は、先生の許可が出ればシャワーだけでなく湯船に浸かることもできるようになります。同時に性生活もできるようになりますが、悪露が出ていたり、体調や精神面に不安がある場合は控えた方が安心でしょう。


一般的に出産後1~2ヶ月ほどで妊娠前の体重に戻ることが多いですが、体重が戻らない場合でも無理なダイエットは避け、適度な運動に留めておきましょう。


体調や精神面は出産した人にしか分からないことも多いため、元の生活に戻ったとしても辛いときはしっかりサポートしてもらいましょう。また仕事を再開するのは、早くても出産後6週以降にしましょう。


帝王切開後の生活の仕方

帝王切開の場合は、経腟分娩のときとは違う点に注意しなければなりません。入院中は流動食から始め、まずはトイレまで自力で歩けるように体を動かしていきます。数日して傷の回復具合が良ければ、シャワーを浴びることができるようになります。


退院後も傷が痛むことがありますので、無理しないことが大切です。


産褥期を無理なく過ごすポイント4つ

出産後は、心身共に疲れ切ってしまっています。産褥期は、自分の負担がなるべく軽くなるように過ごしていくことが大切です。手を抜くことは、決して恥ずべきことではありません。ここでは、産褥期を無理なく過ごすための4つのポイントを紹介します。


1:自身の体調の回復を優先する

産褥期に無理してしまうと、骨盤の歪みなどさまざまなトラブルの原因になってしまう可能性があります。産褥期は、自分の体調の回復を最優先させることが大切です。赤ちゃんのお世話をしながら、身の回りのことまで完璧にすることはとても大変なことです。


自分の体力回復を第一に考え、急がなくてもいいことは後回しにしたり誰かに任せたりして、無理に動かない方がいいでしょう。


2:家族や行政に頼ってみる

自分が大変なときは家族や行政が提供しているサポートサービスなどを頼ることです。一番早いのは配偶者や両親に手伝ってもらうことですが、それが難しいときは行政のサービスを利用してみるのもいいでしょう。


サポートしてくれる内容は、赤ちゃんのお世話や家事の手伝いなどです。寝不足で疲れているママも、サービスを受けている間はゆっくりと休むこともできるでしょう。


3:家事代行サービスを利用する

産前産後をサポートしてくれる、家事代行サービスというものがあります。サービスの内容は企業によって違いますが、さまざまな家事を手伝ってもらうことができます。掃除や洗濯などの家事のほか、買い物を代行してくれるところもあります。


万が一家族が忙しくてなかなか家事ができないときは、家事代行サービスを利用してみるといいでしょう。プロが代行してくれるため、安心して任せることができます。家事に追われることなく、ゆっくりと赤ちゃんと向き合えるのも嬉しいメリットです。


4:便利グッズなどを活用する

産褥期を楽に過ごすためには、便利グッズを活用するのがおすすめです。例えば、哺乳瓶を煮沸消毒する代わりに、電子レンジで簡単に消毒できるものがあります。ミルクの度に煮沸消毒するのは手間になりがちなので、時短グッズがあれば気持ちも楽にできるでしょう。


また、調乳にぴったりの温度に保温しておけるポットもあります。母乳と違ってミルクは作るのに時間がかかるため、あげるまでの時間を短縮できるのがポイントです。


出産後はなかなか買い物できないので、妊娠中からグッズを揃えておくといいでしょう。


出産後の体の回復を早めるポイント3つ

出産後の体を早く回復させるためのポイントを3つ紹介します。出産後は体が弱ってしまっていますが、無理せずに回復を早めていくコツがあります。 体調と相談しながら、できる範囲で参考にしてみてください。


1:バランスのとれた食事を摂る

1つ目のポイントは、バランスの良い食事を摂ることです。当たり前のようですが、出産後は赤ちゃんのお世話で忙しいため、食生活にまで気が回らないこともあります。


母乳を与えている場合は、特に栄養不足にならないように気をつける必要があります。毎日きっちり作るのは大変と思う方もいるでしょう。さっと食べられるものを常備しながら、できる限り栄養バランスを考えた食事になるようにしてみてください。


2:少しずつ産褥体操を始める

2つ目のポイントは、体の回復を促すために産褥体操を始めることです。産褥体操には寝転がったままできるものもありますので、体調の良いときに少しずつ軽く取り入れていくのがおすすめです。


腹式呼吸や足のストレッチなど、さまざまな体操方法があります。医師の許可が出れば、産褥体操を始めてみるのもおすすめです。


3:骨盤底筋を鍛える

3つ目のポイントは、骨盤底筋を鍛えることです。出産により、骨盤底筋が弱ってしまっている可能性があります。


やり方は簡単で、膣に力を入れて数秒止めるというのを繰り返します。別の場所に力が入らないように気をつけながら行なうといいでしょう。


出産後は自身の体調に合わせて無理なく過ごそう

本記事では、産褥期に知っておきたいポイントをたくさん紹介しました。出産後は、自分の体の回復具合を見ながら少しずつ元の生活に戻していくことが大切です。


なかなか思うように休めないこともありますが、ここで紹介したことを参考に、自分の体を労わってあげましょう。